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【はま研究会】ウミガメ班

 今年もウミガメたちが大槌の海にやってきました。念のため場所を確認しますと、岩手県の北でも南でもない真ん中あたりの海に面した町です。ん?岩手県?ウミガメのような爬虫類が岩手県に来るのかと疑問に思ったでしょう。地球温暖化が原因ではありません。実は昔からウミガメたちは岩手県にやってきています。黒潮という温かい海流に乗って、エサを追い求めて岩手県まで北上してくるのです。そのウミガメたちが漁師の網にかかって、大槌町にある東京大学大気海洋研究所国際・地域連携センター地域連携研究部門大槌研究拠点大槌沿岸センター(以下、東大海洋研)に、保護されています。下の写真のようにウミガメを入れる大きな水槽が20くらいあります。ただ保護するだけではなく、体長等を計測したり、フンを調べて食生活を調べたり、観測用の機器を取り付けてバイオロギングの資料作りの準備をしたりします。バイオロギングについては後ほど説明します。


水槽に集まって説明を聞く生徒

 東大海洋研ではウミガメの生態を研究しています。ウミガメはまだ多くの謎に包まれています。しかし、最近では観測用の機材をウミガメに取り付けることで研究を進化させています。犬を飼っている人は分かると思いますが、ウミガメにもマイクロチップを埋め込ませて、各国の研究者たちと情報を交換しています。また、ウミガメに小型カメラを取り付けて実際に何を食べているのかモニターで観察したり、小型発信機を取り付けてウミガメの行動範囲をGPSによってモニタリングをしたり、ウミガメの体温や心拍数がわかる装置を取り付けて、深度によって変化があるのかを調べたりもしています。それがバイオロギングというものです。生物を表す「バイオ」に、記録の「ログ」を組み合わせた造語です。詳しくはこちらをご覧ください。

 技術の発展により装置は小型化されていますが、ウミガメに取り付ける前には接着剤の効き目が長く続くように、ウミガメの甲羅をきれいにしなければなりません。文字通り亀の子だわしを使ったり、金属のスクレーパーを使って、表面の藻やフジツボを取り除きます。ここで登場するのが我ら「はま研究会」です。東大海洋研の先生たちのため、大学院生のため、ウミガメたちの甲羅を磨いたり、水槽の汚れを取り除いたりしています。

スクレーパーで甲羅をきれいにするはま研究会

 そして、世話をしたカメを放流します。こちらが今回放流するアカウミガメの「おおちゃん」です。

放流される前のオーちゃんの記念写真

おおちゃん、さようなら。また会う日まで・・・。

 とは終わりません。話は少し続きます。

 さきほどのバイオロギングを覚えていますか。そして、おおちゃんの上に装置がついているのが見えます。この記事を見ている皆さんはオーちゃんの位置だけでなく、動きもわかるようになっています。下記のURLから「bip-earth」にお入りください。そして、「View Live」(こちら)に進んでください。少し下にスクロールすると「Nickname」の欄に「おおちゃん」が見つかります。その行の左端のチェックマークをクリックしてから、上のほうの「START」と「END」に日付を入力します。「Release」の日付を確認してから、お好きな日付をお選びください。そして「GET DATA」をクリックすれば、おおちゃんの行動履歴を地図上で見ることができます。

それでは、おおちゃんがどのように移動するのか。またはウミガメ以外の生き物の記録をお楽しみください。
 最後までお読みいただきありがとうございました。