副校長の大槌まつり参加日記
大槌高校副校長です。
大槌高校の生徒諸君は、いえ大槌の人々は、「大槌まつり」をこよなく愛しています。そんな生徒と地域の皆さんの気持ちを少しでも理解できればと、祭り3日目(最終日)の9月22日(日)、私を含む大槌高校の職員6名は、神輿のベテラン魅力化推進員2名に連れられて、小鎚神社神輿の担ぎ手として「大槌まつり」に参加してきました!
大槌町には町内を流れる「大槌川」「小鎚川」の近くに、それぞれ「大槌稲荷神社」と「小鎚神社」があります。「大槌まつり」2日目は大槌稲荷神社神輿が、3日目には小鎚神社神輿が町内を練り歩きます。大槌の祭りには、「神(=神輿)が各地区を巡り、それぞれの地区で住民による神を歓迎し讃える芸能を楽しみ、川で垢を落とした後、神社に還る」という大まかな「ストーリー」があります。だから各地区では神輿を正面に据えて神輿に向かって様々な芸能を披露しますし、神輿が通過する際、沿道の皆さんは神輿に向かって柏手を打ちます。
「大槌まつり」への参加は初めてですが、実は私、本校に勤務するのは2回目なのです。神輿を担いでいたとき等、沿道から「あ、先生!」と幼い子どもを抱きながら声をかけてくれるかつての生徒もいましたし、所属する芸能団体で「エース」として踊りを披露する大役を担ったりしている教え子もいました。私のことを覚えていてくれて、本当にうれしかったと同時に、成長した姿を見て時間が経過したことも改めて感じました。そう、時間は流れているのです。あの震災からも・・・。
被災直後の大槌町の風景は、私の心に残って離れません。あの混乱の中、本校が避難所となり、やがて学校が再開され、様々な不便のなかで生徒とともに学校生活を送ったあの日々。私の教員生活の中でも最も強く印象に残っている日々です。
それから十数年の月日が流れた今回、大槌まつりに参加し、震災を乗り越えようと前を向いている大槌の皆様が日常を取り戻し、年に一度の祭りを全力で楽しんでいる様子を見て、神輿を担いでいる際も何度も勝手に感極まりながら町の中を練り歩いていました。
改めて、大槌の皆様のこれまでの歩みに敬意を抱かずにはいられません。
さて、生徒の話に戻りますが・・・。
大槌の多くの子どもたちは、「自分の地区の芸能」を持っています。神楽、鹿(しし)踊り、手踊り、虎舞・・・。本校の生徒諸君の多くも、それぞれ自分の「芸能」を持っています。各地域の伝統芸能を継承するためにこれほど多くの子どもや高校生が参加するって、珍しいと思います。「祭りは見るもの?出る(参加する)もの?」と聞かれて、「え、見るものでしょ?」というのが多くの人の感覚ではないでしょうか?大槌では、多くの人から「当たり前、出るものでしょ!」という答えが返ってくるはずです。ちなみに県外から来ている「はま留学生」も、いくつかの郷土芸能団体に参加しています(「はま留学生の日常vol.19」参照)。
祭り当日は、各地区に神輿が到着すると披露される芸能団体で生徒諸君が躍動する姿を見ることができました!降りしきる強い雨のなか、普段学校で見せないような真剣な表情、躍動感あふれる美しい踊り。練習を重ね今日を迎えたことがはっきり分かる、素晴らしい出来栄えでした。何より、一生懸命に打ち込む姿、とてもいきいきとしていました!
今回、大槌まつりに参加して、大槌という地域の文化とそこに暮らす人々、そして本校の生徒を理解する一助となったと強く感じることができました。地域に貢献したいと考える高校生が多くおり、高校生を力として期待する地域がある。学校として、生徒に社会に貢献するための力を育む責任があることと、普段の探究活動等において地域の皆様のご協力をいただいていることに報いしっかりした生徒を育てていく責任があることを、再認識しました。今回、「大槌まつり」に参加し体験したことで、大事なことを見直すことができました。
大槌高校で力を入れている探究学習。このなかでは様々な経験や体験をします。まさに「見るものではなく、出る(参加する)もの」といった学びが多くなっています。このような体験から「じぶんごと」を増やし、地域や社会で学びを深める大槌高校。我々教職員も、今回の「大槌まつり」参加のように、生徒と一緒にワクワクするような体験をしたいと思っています!