御神輿が見せてくれたあの子の顔
大槌高校に教員として勤務して、6年目になる。6年目にして、はじめて大槌祭りの御神輿を担いだ。とにかく熱い!お祭り熱。大槌まつりをみんなで盛り上げる、一体感に圧倒された。
御神輿を担ぎ、大槌を回っていく中で鹿子踊り、虎舞などの郷土芸能を見た。
「こんな真剣な顔するんだ。こんなに頑張っていたんだ。」
普段、学校で見る顔と全く違う顔をしている生徒がそこにいた。
それから、卒業してからずっと会っていなかった、教え子たち。
たくさんの教え子たちの頑張りを見ることができるのは、お祭りの日にみんなが帰ってくるから。
高校時代の彼ら彼女らが頭に蘇る。
卒業しても、こんなにお祭りに一生懸命な姿を見て、うれしくなった。
「自分が観客ではなく、お祭りに参加したから、町の人達と御神輿を担いだからこそあの子のあの姿に出会えたのだということ。学校でリーダーシップをとることができると思ってなかった子が、郷土芸能で堂々とリーダーとして活躍している。郷土芸能や地域と、我々教員が一緒に生徒を育んでいくって、こういうことなのか。」
今も強く感じていることである。
学校に戻ったら、「お祭り」を共有した関係で生徒と話ができる。
それも、面白い。
この大槌の地では、たくさんの大人が子どもたちを見守ってくれていることを目の当たりにし、学校と地域の協働というものを改めて考えるきっかけとなった。
小さな町かもしれない。小さな学校かもしれない。
でも、だからこそ地域、教員、生徒が何かを一緒に創り上げていく経験をともに共有できるのだろう。
「自分の子じゃないあの子」を「自分の子」として見守るあたたかい町。
大槌のよさに触れた一日であった。