【はま研究会】島根県隠岐島へ行く
こんにちは。大槌高校はま研究会は「海で遊び、海を学ぶ」をコンセプトに活動しています。その中の1つ海洋漂着物班は、浜辺に落ちている漂着物、いわゆる海ごみを回収して分類して、そのデータと取っているわけですから、文字通りのはま研究会と言えます。その「はま研究会海洋漂着物班」(以前は海ごみ班でしたが、海洋漂着物班と改称)は今年2024年10月19日、20日と島根県の隠岐島へ行ってきました。海ごみの回収?観光?それも少しありますけれど、目的はこちらです。
学会に参加してきました。高校生であるにも関わらず学会で発表してきました。はま研究会は漂着物学会で唯一の高校生が学会員なのです。昨年も書きましたので詳しくはこちらをご覧ください。3年連続3回目の出場となりました。顧問と指導してくださる早川准教授(東京大学大気海洋研究所大槌沿岸センター:以下、東大大海研と略す)は慣れたものですが、生徒は毎回入れ替わりますので参加する生徒はいつも必死で、いつも緊張しています。今年は1年生の2人が参加しました。経験も知識もまだ未熟だと本人たちも感じているからでしょう。学会の前々日から出発して疲れもあるからかもしれません。疲れと緊張が入り混じった状態で学会のポスター発表に臨みました。。今回のポスター発表に使用するポスターは以下のとおりです。
内容をかいつまんで説明します。例えば砂浜へ行きますと、ペットボトルやプラスチック、ビニール袋やロープなど人工的なゴミが見られます。また、海草や木の枝、流木等の自然物のゴミもかなり見られるはずです。
見た目のごみについては過去の発表にもあるので、ここでは割愛しますが、今回は自然物に隠れているプラスチックごみに注目しました。当初は海草や木の枝などの塊がマイクロプラスチックの温床となっているのではと考えていましたが、意外と長い繊維やロープ・ひも類が多く隠れていることがわかりました。つまり、単に人工のごみだけを調査していた場合や、海岸清掃で漂着していたプラスチック等の人工のごみだけを拾っていた場合では、自然物の中に隠れていたプラスチックごみを見逃していたのです。これをデータを示しながら生徒たちは一生懸命説明したのです。
聞きに来てくれた方々はいずれも好意的に聞いてくださり、生徒に質問したりアドバイスをくれたりしてくれました。生徒にとっては極上の学びの場となったと思います。そして生徒たちが現時点でベストを出せたと思っています。ただ、今回の発表に関しては季節ごとのサンプルが足りないことを実感しましたが、これについては時間をかけてサンプルを採集してデータを蓄積するしかありません。海洋漂着物班が地道な活動を続けることですね。
学会での発表や講演会が終わった後は、交流会に参加しました。大学の先生方や博物館・美術館の学芸員の方、そして一般の研究家の方々と様々な人に開かれて交流もできるのが、この漂着物学会の良いところです。
翌日はビーチコーミングに参加しました。写真は学会の前日に東大大海研の早川先生と一緒に別の海岸でビーチコーミングしたときの写真です。隠岐の島ではどこでもごみの漂着が多く、我々の岩手県大槌町とはけた違いです。ペットボトルだけを見ますと、中国語(北京語、台湾語)、ハングル語、ロシア語が多く、日本語表記のペットボトルが比較的少ない印象でした。生徒が見つけたものには、ベトナム語やインドネシアの製造と思われるものがありましたが、どこから流れてきたのかという元となる場所はわかりませんでした。しかし、島の至る所に多くの人工物が漂着しているのを目にすると、これから日本の、いや世界の環境に関して暗い思いを抱かざるを得ません。また一方で参加者から「こんな貝を見つけた!」と嬉しそうな顔を見ると、よ~し、こっちも面白いものを見つけようと思う自分がいるのでありました。生徒の方はといいますと、楽しそうに自分の興味のある漂着物を探したり、学会員の方たちと談笑したりしていました(この後、生徒たちはボーっとしているようでしたが、学会ロスですかね。)。
来年度の学会は北海道で行われます。えっ、札幌?小樽?函館?いえ、オホーツク海沿岸の紋別市です。来年も良い旅になったと生徒が感じられるように、あっ、失礼しました。良い発表ができたと生徒が感じられるように、普段の漂着物の回収と分類を生徒と一緒になって継続させたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考資料:漂着物学会ホームページ